赤ちゃんのミルク(調乳)や離乳食に、水道水や井戸水を使っていいの?




赤ちゃんのミルク(調乳)や離乳食に、水道水や井戸水を使っていいのか、疑問に思っている方も多いかと思います。

この記事では、ご家庭で使用する水の水質という観点から、安心して赤ちゃんのミルクや離乳食の水を使うための注意点を解説します。

※アレルギーやアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)については、この記事では触れていません。お子様にアレルギーがある場合やアレルギーが心配な場合は、この記事で判断せず、必ずかかりつけ医に相談して判断してください。

水道水は基本的に安全だが、注意する点も


粉ミルクは日本の水道水を煮沸して冷ました水で溶かすことを考えて作られています。

日本で供給される水道水は、水道法という法律に基づく51項目検査という検査で基準に合格したものですので、家庭に供給される水道水は基本的には安全です。

ただし、集合住宅やマンションなど、供給された水道水を一度貯水タンクなどに貯めて利用する場合は、場合によっては水質が悪化する事例が報告されています。ルールどおりに貯水タンクの定期的なメンテナンスが行われていれば問題ありませんので、施設管理の担当者に確認したり、不安なら一般的な水質検査をお勧めします。

 

井戸水を飲用する場合の注意点

水源として井戸水や地下水を利用している場合、地下水が重金属の汚染や雑排水等の汚水の地下浸透による汚染を受けているケースも報告されます。

井戸水を飲用する場合には、「飲用井戸等衛生対策要領」(厚生労働省通知)により、水質基準に適合していることが必要です。

例)
飲用井戸等衛生対策要領」(厚生労働省通知)
井戸水を使用する皆様へ」(一例として「埼玉県」のページをご紹介します)

実際にどのような水質基準の超過事例があるか気になるところなので、次に説明します。

水質の基準超過の事例

実際に以下のように水質基準を超過する事例が毎年報告されています。

硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が基準超過

令和元年5月に、宇都宮市が実施した地下水調査にて、ある井戸で「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」が基準超過していることが分かり、自治体が井戸の所有者や周辺住民に対して周知、井戸水水質検査の実施を呼びかけました。健康被害はありませんでした。

出典:「地下水質の環境基準超過が判明しました」
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/kankyo/seikatsukankyo/1021015.html


今回のケースでは健康被害はありませんでしたが、「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」が基準を超えた水で調乳したミルクや調理したベビーフードを与えると、乳児はとくにメトヘモグロビン血症(酸素欠乏症)を発症することがあり、注意が必要です。

他の水質汚染事例

他にも水質汚濁事例は毎年報告されています。詳しくは「水質汚染事故等の発生状況(厚生労働省)」をご覧下さい。

赤ちゃんのミルク作り・離乳食調理に使う水で気をつけたい水質項目

水は命そのもの。人の体重の半分以上は水ですが、赤ちゃんならその割合はさらに高く、実に体重の70%以上に及びます。
飲料水の安心を確かめるには、2つの方法があります。

  1. 市町村が公開している水質検査データをチェックする。
  2. 実際に自宅の飲料水を検査する。
2.の場合は、お近くの保健所に相談したり、ウェブなどで検査できるところに依頼します。

弊社でも、以下で紹介する水質項目がすべて検査できるオリジナルセット「赤ちゃんが安心して飲める水か確かめる水質検査セット(郵送)」を販売していますので、是非ご検討ください。

それでは、赤ちゃんのミルク作り・離乳食調理に使う水で気をつけたい水質項目について解説していきます。
 

一般細菌

飲料水中の特定の培養条件下で検出された細菌数を指します。 一般細菌は、病原菌数を意味するわけではありませんが、一般細菌が基準を上回れば、塩素消毒にトラブルが生じている、病原菌に汚染されている可能性がある、など水の状況を推し量ることができます。

大腸菌

特定の培地を使い、β-グルクロニダーゼ活性を有する好気性または通性嫌気性の細菌を検出します。大腸菌は基本的に動物やヒトの腸管内に存在するため、糞便汚染の指標として使われます。近隣の地下水などで配管の老朽化などで汚水の汚染があると、地下水、井戸水で検出される場合があります。

カドミウム

神通川流域で鉱山廃水が原因で起こったイタイイタイ病の原因金属として有名で、化学肥料中の不純物として土壌に拡散するケースも知られています。公共用水域などで基準値以上の濃度が検出される場合があり、長期的にカドミウムに曝露されると腎臓の機能障害が起こります。

水銀

水俣病では排水に含まれた水銀が原因とされています。メチル水銀など有機水銀がとくに胎児、幼児の発達に悪影響を及ぼしたり、生物全般の神経系に作用することが分かっています。
最終処分場周辺の観測用井戸や、市民生活のための専用水道や井戸水から水道法の基準値を超過する水銀が検出されることがあります。
また、廃乾電池ピットからの浸出も危惧されています。

ベートーヴェンが晩年ほぼ耳が聴こえなくなった原因として、鉛中毒が有力視されています。ワイン好きだったベートーベンですが、当時のワインには甘味料として鉛化合物が添加されていたため、ベートーベンは鉛の慢性的な過剰摂取となっていた説があります。実際、ベートーヴェンの髪の毛から通常より100倍高い鉛が検出されています。

現在も、事業跡地の土壌や地下水から基準を超える鉛が検出されることがあります。

砒素(ヒ素)

砒素は慢性的に基準を超えて摂取すると、食欲不振や嘔吐、メラニン沈着などを引き起こし、食べ物や飲み水を介して大量に摂取すると死に至る場合もあります。

鉱山の廃石に含まれる砒素が河川などに流れ出したり、農薬、薬品、塗料などの製造工場の廃液が地下に浸透することで、砒素の土壌、地下水汚染が発生したケースがあります。

また、自然界の地層・地質に由来して砒素含有量がもともと高いと推定される地域も知られています。


https://www.pref.chiba.lg.jp/suiho/chikasui/documents/chiba-as_1.pdf

六価クロム

自然水中にはほとんど存在しませんが、廃棄物や工場排水(メッキ、染料など)の混入により地下水や土壌が汚染されることがあります。飲料水などを介して慢性的に摂取すると、肝機能障害、呼吸器障害、鼻中隔穿孔、肺がんなどの原因となります。

実際、アメリカでは、工場の敷地内で長期にわたり高濃度の六価クロム溶液を土壌へ漏洩したことで地下水が汚染され、地域住民に癌などが多発した事件があります。国内でも、メッキ加工や金属洗浄などの企業、工場の廃液による土壌汚染、地下水汚染が問題になることがあります。

亜硝酸性窒素および硝酸性窒素

井戸水などに含まれる亜硝酸性窒素および硝酸性窒素の濃度が高いと、その水を摂取することにより、とくに生後3ヶ月未満の乳児がメトヘモグロビン血症を発症する場合があります。発症すると、チアノーゼ、呼吸異常、呼吸困難、意識障害などを起こします。

シアン化物イオン及び塩化シアン

シアンは自然界の水系にはほとんど含まれません。メッキ工場や化学工業、製鉄工場などから排出され、シアンに汚染された水を大量に飲むと健康被害が生じます。塩化シアンは水を塩素処理した場合に生成されると考えられています。

塩化物イオン

塩化物イオンの濃度は、地質由来の場合もありますが、海沿いの地域では、海水により、また、海沿いでなくても、畜産排水や工場排水、生活排水の汚染により、濃度が上昇することがあります。

硬度(カルシウム・マグネシウム等)

赤ちゃんの調乳や離乳食の調理に水道水を使う場合、気をつけたいのが硬度(いわゆる硬水、軟水)です。
硬度とはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルの量*です。
赤ちゃんにとっては、水にミネラルが多すぎると、胃腸や肝臓に負担をかけ、下痢になることもあります。

そのため、赤ちゃんの調乳や離乳食の調理に水道水を使う場合、硬度100mg/L以下の軟水を与えるのが良いとされています。
ペットボトルのラベルにはよく硬度が表示されていますので、見てみてください。水道水や簡易水道の場合、どれくらいの硬度なのかは検査してみないと分かりませんが、市町村のHPに供給水道水の成分が表示されている場合もありますので、確認してみるといいでしょう。井戸水や地下水の場合は、検査してみないと分からないので、検査してみましょう。


*硬度の量は正確には、カルシウムの量とマグネシウムの量を合わせて炭酸カルシウム (CaCO3) の量に換算した値(mg/L)。WHO(世界保健機関)では、120mg/Lより小さければ軟水、大きければ硬水と定義しています。

有機物(TOC)

飲料水中にどれくらいの有機物質が含まれているかの指標です。自然由来(河川中の有機物など)の有機物や生活排水、工場排水由来の有機物量の総和ですが、排水の汚染の程度を推し量る指標として使われます。この値が高いと、水質汚染の程度が高い可能性があると考えられます。

pH値

飲料水の酸性、アルカリ性の度合いを表します。通常、弱酸性から中性程度ですが、極端に酸性だったりアルカリ性だった場合、付近の施設や工場からの汚染の可能性が考えられます。井戸水、地下水の場合、水脈によっては、鉱泉の影響もあり、その場合、極端に酸性、アルカリ性になることもあります。

水の味はさまざまな自然地理的な要因、地質的違いにより違うものです。「味」に異常がないかを実際に検査員が口に含み、確認します。

臭気

貯水槽などで細菌や藻類が増殖してたり、配管に汚れている箇所があると臭気が発生することがあります。また、老朽化による配管からの汚染がないかの指標にもなります。

色度

飲料水が着色していないか確認する項目です。正常なら透明ですが、配管中の錆、水源に含まれる鉄分やフミン質により着色します。
台風など自然災害の直後に色度が異常になることがあります。

濁度

 飲料水に濁りがないか調べます。水源の混濁、細かい砂の混入、配管腐食などで濁度の異常が発生します。
台風など自然災害の直後に色度が異常になることがあります。


地下水や井戸水を自宅の飲用とする場合は、以下のキットをご検討いただくこともおすすめします。

【環境未来オリジナル】『ミルク・離乳食に使う水 水質確認検査』郵送セット

我が家の水の安心を調べたい。子供に安心な水を飲ませたい。

そんなニーズに応え、環境未来が独自に検査項目を設定したオリジナルセット【ミルク・離乳食に使う水】水質確認検査」をご用意しました。


検査項目は、上記「
赤ちゃんのミルク作り・離乳食調理に使う水で気をつけたい水質項目」に挙げた水質項目すべて。

送料は無料、クレジットカードやアマゾンペイ、楽天ペイ、コンビニ決済が利用可能なので、ご自宅にいながらお手軽に検査ができます。

こんなシーンでぜひご利用ください

赤ちゃんが安心して飲める水かどうかを確かめるためのセットですが、それ以外にも幅広い用途でご利用いただけます。
  • 乳児がいる。自宅の水源が井戸水(地下水)なので安全な水か不安なので確かめたい
  • 硝酸、亜硝酸が気にはなっているけど、どう検査すればいいか分からない。
  • 井戸水の水が安全か気になる。昔に検査したきりずっと検査してない。
  • 蛇口から茶色や赤色の濁った水が出てきたことがあるので、原因を調べたい。
  • 別荘、新築、中古の家の水を調べたい。
  • ウォーターサーバーや浄水器・浄水装置を設置しているが、長年使っていて、水質が気になる。
【ご依頼前の注意点】
※この検査はアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)の有無を調べる検査ではありませんので、お子様にアレルギーの心配がある場合は、ご注意下さい。

※このキットでお水のすべてのリスクが検査されるわけではなく、検査対象の水質項目が採水日において基準以下かどうかが分かります。

最近チェックした商品

最近チェックした商品はまだありません。