ピロリ菌が陽性になった場合の対応&陰性になった場合の注意すべき点〜内科医師と検査会社による解説

近年ピロリ菌と胃がんの関係が分かってきたため、中学生の集団検診でピロリ菌検査が取り入れられるなど、ピロリ菌検査・除菌する方が増えています。

ここでは、ご家族、社員様など初めて検査される方に向けて、検査のながれや結果の解釈について解説します。

ピロリ菌とは?

ピロリ菌の正式名称はヘリコバクター・ピロリです。胃に生息する細菌で、胃がんの多くがピロリ菌が原因であることが研究や統計で分かってきました(※1)。

胃がん予防のため中学生にピロリ菌検診を行う自治体も近年増えています。弊社本社のある松本市も今年(2018年)から市内中学生の検診にピロリ菌検査が取り入れられることになっています。


ピロリ菌の大きさは4μ(マイクロ)メートル。1mmの1000分の4と、とても小さいので、眼では見えません。

胃は胃酸という塩酸と同じくらいの酸性の世界ですが、ピロリ菌がその強酸性下の胃の中でも生きていけるのは、ピロリ菌がウレアーゼという酵素をつかってアンモニアを作り、自分の体の周りの胃酸を中和しているからです(図1)。まるで海に浮き輪で浮いてるような感じです。

ピロリ菌が陽性になったら

              図1
※1 一般社団法人 予防医療普及協会HP
 

家族や社員にピロリ菌検査をおすすめする理由〜ピロリ菌の感染率

日本人の50歳代以上で40%以上、40歳代で20%以上、18歳代でも10%前後の方がピロリ菌に感染しているというデータがあります(※2、※3)。

ピロリ菌の感染率年代別検査
※2 Expert Rev Gastroenterol Hepatol. 2013 Jan; 7(1): 35-40. (上記の図の参照元)
※3 Kamada T. et al., Helicobacter. 2015;20(3):192-198.


高齢ほど感染率が高い原因は、昔は衛生環境が整っていなかったのに加え、井戸水を飲む機会が多く、当時の井戸水がピロリ菌に汚染されていることが多かったためと考えられています。

また十代など若い年代でも一定の割合でピロリ菌に感染している人がいるため、ピロリ菌を検査していない家族や社員さんは年齢層に関わらず、ピロリ菌検査をすることをおすすめします。

さらに、検査方法の種類によっては陽性基準が引き上げられたので、昔陰性だったから安心するのではなく、再度検査することも場合によっては必要であると言われています。

ピロリ菌の検査について

ピロリ菌検査は血液、呼気、便などで検査することができます。また、検査場所も病院で行う検査、自宅で採って郵送検査する検査などがあります。感度、メリットなどは以下となります。

ピロリ菌検査方法の比較

検査方法 感度
(%)
特異度
(%)
侵襲性 メリット・デメリット
便中抗原法 90〜98 87〜100 なし 生きた菌のみならず死菌も検出できる。
培養法 77〜94 100 あり 胃の別の場所での感染を見逃す可能性がある。
鏡検法 93〜99 95〜99 あり
迅速ウレアーゼ試験 86〜97 86〜98 あり
尿素呼気試験 90〜100 80〜99 なし 事前の禁煙が必要 。
血液抗体法 88〜96 89〜100 あり 採血が必要。
尿中抗体法 89〜97 77〜95 なし 抗体価はすぐに低下しないため除菌後しばらくは偽陽性が出やすい。

 

大事なのは、ピロリ菌検査結果についてについて正しく理解することです。これについてここから解説します。

ピロリ菌が陽性になった場合の対応

陽性の場合、内科、消化器系の病院・医療機関を受診してください。

ピロリ菌が検出されると陽性または(+)と報告書に表記されます。
以下の疾患・病気がある方は特に除菌が推奨されます。
・胃、十二指腸潰瘍
・胃に発生するリンパ腫の一種(低悪性度胃粘膜関連リンパ組織リンパ腫)
・萎縮性胃炎(なるべく早期のうちに)
・ポリープ(過形成ポリープと呼ばれるもの)
・早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術後

また、陽性判定で胃炎・胃潰瘍などの症状がない場合でも、一度医療機関に相談されることをおすすめします。ピロリ菌に感染している場合、慢性活動性胃炎を起こしていると言われており、症状がなくてもピロリ菌陽性であれば慢性胃炎が生じていると考え、除菌治療の適応・保険の適応となります (出典:日本消化器病学会)。
 

ピロリ菌検査が陰性になった場合の注意すべき点

ピロリ菌が検出されなかった場合、「陰性」または(−)と報告書に表記されます。

ただし、陰性判定でも、胃炎・胃潰瘍・胃粘膜の萎縮・ABC分類のC(D)判定がある場合、内科、消化器系の医療機関を受診してください。

また、ピロリ菌除菌後の検査目的で陰性だったとしても、胃がんなどのリスクがゼロになるわけではありません。胃がんになるかどうかは、ピロリ菌がどれだけ長い期間、胃にダメージを与えたかが重要とされており、胃の萎縮、胃がんがその後発生していないか内視鏡検査で継続的に検査することが大切です。  
大事なのは検査の精度、感度について理解し、ピロリ菌陰性でも胃がんのリスクがゼロではないことを理解した上で検査を受けることです。
 
※この記事は内科医監修の下、作成したものです。


 

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