「ノロウイルスの検便検査を月1回実施」が努力義務へ(2017)

調理施設のノロウイルスの遺伝子検査


大量調理マニュアルは、「同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する」調理施設に適用される、厚生労働省が作成している衛生管理・調理マニュアルです。

2017年に改正された「大量調理マニュアル」では、該当施設のノロウイルスの検査について、以下のように表現が改正されました。

従来

「必要に応じて10月から3月の間はノロウイルス検査を含めることが望ましい」



改正後

「10〜3月までの間には月1回以上または必要に応じてノロウイルスの検便検査に努めること」

出典:厚生労働省「大量調理マニュアル」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168026.pdf

この改正の意味は?

ノロウイルスにより毎年多くの食中毒事件が発生していますが、その発生原因の約8割は「調理従事者からの汚染」であることが分かっています。つまり、多くのノロウイルス食中毒が調理者により発生しているのです。

したがって、ノロウイルスの感染拡大を防ぐには、調理従事者の体調を詳しく把握し、体調不良の場合は速やかに食品に触れる業務から離れるなどの対策が必要です。

その対策の根底となるのは、ノロウイルス遺伝子検査によるチェック・スクリーニングです。

そこで、今回の改正では、スクリーニング手段としてノロ流行時期の10月から3月までのあいだに月に1回以上又は必要に応じ実施に努めることと改正したのです。

改正に伴う課題

法・指針やマニュアルが改正される前には、その実効性や課題を国民・関係者から広く意見を募り公にするパブリックコメントが発表されます。

今回のパブリックコメントでは、以下の課題・意見が出されました。
  1. 一般に健康管理に用いられる簡易な検便検査は、ウィルス量の少ない無症状病原体保有者を確実に把握するには十分でない。
  2. 一方で、PCR検査等の検出力の高い検査方法は費用が高額であり、定期検査にはなじまない。
  3. 適切な検査間隔等の実効性のある検査体制について、エビデンスが十分確立されていないこと。
  4. 罹患率の低い無症状者に対して検査を行えば、陽性的中率が低いことから多くを偽陽性と判定、不要な就労制限を課す可能性がある。
  5. ウィルス量が少ないために陰性と判定された偽陰性の無症状病原体保有者が、検査結果に安心して衛生管理を不十分にする懸念がある
出典:厚生労働省(「大量調理施設衛生管理マニュアルの改正案に関する御意見の募集について」に寄せられ た御意見について)(https://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000160444

なかでも、2.の「PCR検査等の検出力の高い検査方法は費用が高額であり、定期検査にはなじまない」という指摘は、全国の調理施設で直面している問題です。

ノロウイルスのPCR検査などは、リアルタイムPCR装置を使用した定量PCRのひとつであり、試薬代も高いため、どうしても検査料金は高額となります。

しかし、近年徐々に、調理師で感染が疑われている方や家族が感染した場合など、さらに調理師の定期検査として、PCR検査(高感度検査)を実施する施設は増えています。

今後、より安価な高感度検査が普及し、高感度検査が手軽にできるようになることが望まれます。
 
監修:和田 凰義(臨床検査技師)

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